総合栄養食(ペレット)の必要性

飼い鳥の飼育において、ペレットやフォーミュラと呼ばれる総合栄養食がだいぶ浸透し、鳥の専門店、鳥を診られる動物病院、鳥の生態を取り扱っているペットショップやホームセンターでも見かける機会が増えました。

 

以前は海外製品がメインだったものの、近年は国内メーカーも製造をはじめ、日本における総合栄養食の認識は向上しているといえます。

 

昔は殻付きの種子を与える飼育方法が主流でしたが、種子のみでは欠乏する栄養素があることが総合栄養食が普及した一番の理由といえるでしょう。

その他にも、総合栄養食を食事に取り入れるメリットは”命を守る視点”からも重要な点がいくつかあります。

今回はそれらをお伝えします。

 

・選り好みによる栄養素の偏りを防ぐ

ミックスされたシードや、様々な食材を用いた手作りの食事では、愛鳥自身の好みにより食べる部分と食べない部分が選り分けられます。

また、必要な栄養素を網羅したバランスで毎日手作りすることは現実的ではなく、知識と緻密な計算を要します。

総合栄養食はまるごと食べることで必要な栄養素を体内に取り込むことができるため、

栄養素の欠乏や偏りを防ぐことができます。

 

・処方食が必要となった時に対応しやすい

寿命が延びている分、疾病のリスクと隣合せなのは仕方のないことですが、症状により病院から処方食への切り替えを勧められる場合があります。

例えば肝機能や腎機能の改善を目的とするものや、アレルギーや肥満の対策として必要となる可能性もゼロではありません。

そうした際に、今まで一度も総合栄養食を食べたことがない個体がいきなり切り替えることは、難しい傾向にあります。

鳥たちは色や形、食感に対しとても繊細な感覚を持ち合わせていますので、

場合によっては、治療を要するほど体力が落ちている状況で食事の切り替えも同時に行うことは愛鳥への肉体的・精神的な負担も懸念されます。

総合栄養食に普段から慣れているからといって処方食へスムーズに切り替わるとは限りませんが、全く馴染みがないよりは愛鳥への負担が軽く済むかもしれません。

 

・消化負担が少ない

様々な理由から、消化機能が落ち治療を要する可能性があります。

食べたものがきちんと消化されずに排出される未消化便がみられる場合など、獣医師から総合栄養食への切り替えを勧められることがあります。

実際に吐き戻した内容物をみると、種子はまだ形を留めているのに対し、総合栄養食は既にペースト状にすり潰されていることがわかります。

鳥を診られる病院でも、未消化の状況がみられる場合はペレットへの切り替えを勧められます。

前項の記述と同様、医療的な観点から食事内容の変更を要するときに、少しでもスムーズに切り替えられることは愛鳥の心と体の負担を軽減することに繋がります。

 

・災害などによる避難時に対応できる

島国である日本は、どこに住んでいても常に災害の危機に晒されています。

ほぼ確実視されている巨大地震、噴火(いずれも明日起こってもおかしくないといわれています)、それに伴う二次災害(停電、火災、津波、交通網の麻痺等)、日常においても火事等が発生する可能性もゼロではありません。

いざ緊急避難を要したときに、いつも食べているものがすぐに持ち出せる形状であること、そしてすぐに持ち出せる準備をしておくことは大変重要です。

避難生活や交通網が麻痺した状況で、今まで通りの飼料を入手することは難しいと考えた方がよいでしょう。

回復までに数週間~数か月かかる場合もありますので、以前のブログ記事でもお伝えしたように、常に+1袋をキープするローリングストックを強くおすすめします。

 

しかし種子やそれ以外のフードにも、食べる楽しさや愛鳥が好む味わいというものがあり、決して悪い面だけではありません。

 

リスクばかりを重視し、単調な食事にしてしまうことは決しておすすめしません。

 

何事もバランスが大切です。

 

愛鳥の食の楽しみを尊重しながら、どちらも適度に取り入れることが望ましいのではないでしょうか。

 

ペレットへの切り替えのコツについては、また別の記事でご紹介いたします。